システム開発というときのQMSの位置付け
企業のシステムの全体イメージを再掲します。
QMS(Quality Management System)は、組織が顧客に対して提供する製品やサービスの品質を継続的に改善していく仕組みのことを意味します。
QMSでは品質目標 や組織の方針を定め、その目標を達成するために必要な状態を整えていきます。
QMSの適用範囲 は事業所であったり、組織全体であったり、製品であったりしますが、いずれの場合でも「顧客満足」を最終目標としており、それは品質の向上によって達成することができると考えられています。
QMSの企業システムの位置付けは次の図のようになります。
生産管理システム、販売管理システムに含まれる品質管理や品質保証をメインにしてその他の部分にも関連があることを示しています。
QMSでは、Plan(計画)⇒Do(実行)⇒Check(評価)⇒Act(改善)というPDCAサイクルを回すことで継続的に品質改善していくことが重要です。
品質とは、「顧客の期待するレベル」のことです。例えば、製品を購入した顧客は「その製品が不良品であること」は期待していないはずです。つまり、「不良品を出さないこと」は顧客満足につながるわけです。QCD(品質・価格・納期)に対して顧客の求めるレベルを超えていると顧客満足に繋がるとも言われています。
品質マネジメントシステムは具体的に言えば「不良品率を低減させることで顧客満足を高める」ことや、「顧客の要求を回収し、その要求を製品やサービスに反映させていく」ための仕組みのことなのです。
「どうすれば不良品率を低減することができるか?」「問題があったときにどのように対処すればそれ以降その問題が発生しないか?」ということを仕組みに組み込み、継続的に品質を高めていけるような土台と言えばより分かり易いかもしれません。
経営の目的は、製品・サービスを通して顧客に価値を提供し、その対価から得られる利益を原資としてこの価値提供の再生産サイクルを回すことにあると考えられます。すると、製品・サービスの品質こそが経営の直接的な目的となります。
これに対し、経営の目的は利益であるという論が一般的です、その利益をあげるためには、何にもまして売上を増すために顧客満足という意味での製品・サービス品質の向上が必須となります。社会・顧客への価値の提供という組織設立の目的を考えるなら、利益をあげることそのものが経営の目的というよりは、顧客に価値を提供し続けるために利益をあげるのだと考えるべきです。
企業における品質保証に於いて品質管理は品質保証の中の一つの手段です。
品質マネジメントというより大きな体系にはこの二つを含む品質に関わる4つの活動が含まれます。4つの活動の概要は下記のようになります。
* 品質計画・・・品質目標を設定し、必要なプロセスを規定し、品質目標を達成するための関連する資源に焦点を合わせた活動
* 品質管理・・・品質に関する要求事項を満たすことに焦点を合わせた活動
* 品質保証・・・品質に関する要求事項が満たされるという確信を与えることに焦点を合わせた活動
* 品質改善・・・品質に関する要求事項を満たす能力を高めることに焦点を合わせた活動
QMSの中心は品質保証ないし品質管理業務が中心であることは間違いありません。しかし狭義の品質保証ないし品質管理だけをしていてもQMSを実施していることにはなりません。
上記4項目(所謂PDCA)を回して品質を継続的に保障していく仕組みを作り上げなければ本当の意味でのQMS構築にはなりません。
QMSは経営陣を巻き込んだ全社を挙げての活動です。ということはQMSという単体のシステムは存在していません。
品質保証、品質管理関連のシステムを中心にドキュメント管理システム、関連部署への各種情報の伝達システム、何か問題が生じた場合の対処方法を実行運営する組織を動かすための仕組み(システム)の集合体ということです。
即ち企業が持つあらゆるシステムと何らかの関連を持つと考えた方が良いということです。
世の中QMSと称するシステムがいろいろ販売されています。その実態はQMSを評価する規格(例えばISO9000)が求めるドキュメント管理機能が中心になっています。
市販のQMSと言われるシステムを導入しただけでは決してQMS本来の活動ができるわけではないことに注意してください。
QMSにまつわるシステム開発ということであれば品質計画に関連する社内の既存のあらゆるシステム(品質保証であったり、顧客管理であったり、あるいは生産管理であったり)の情報を如何に分かりやすく見えるようにしていくかということになります。
既存のシステムは通常バラバラですので、それを繋ぐシステムを作っていくことがある意味QMS構築になると思います。
QMS全体の仕組みはとてつもなく大きいのでそれを一度に実現することは非常に困難です。
しかし企業にある個別のシステムをQMSに向けて繋いでいくためのシステムは決して大規模なものではありません。プログラミングの知識があれば誰でも作れる程度のシステムです。
このようなシステムを石黒社会システム研究所では小さなしいステムと言っています。
しかし小さいシステムであっても、先ほど知識があれば誰でも作れるといいましたが、時間がなかったり、作るのが面倒だったりするとその小さなシステムを作るハードルは高くなります。そこを何とかお手伝いしたいというのが石黒社会システム研究所設立の趣旨です。小さなシステムでお困りのことがあればご相談ください。
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