システムについて考えてみました
システムとは何でしょうか
近頃働き方改革が叫ばれています。そのときに業務のシステム化を図らなければ等々の議論がされます。
ではシステム化とはどういうことでしょうか。一般的にはシステム化と言うとコンピュータを使用したものを思い浮かべると思います。しかしこの考え方はシステム化の意味を非常に狭く捉えたものでありこの考え方にとらわれると業務のシステム化はできなくなります。
即ち内の仕事はコンピュータに関係ないからシステム化なんて関係ないと言うことになりかねません。
システムというものは実は物事を遂行する仕組みのことを言います。決まった手順で作業をすることと言っても良いかもしれません。
何かの作業をするときに「システム的に作業をする」という言い方がありますが、この言い方がシステムというものを表しています。「システム的に作業をする」と言うことは機械的に作業をするとも言います。一定の手順で余計なことを考えないで作業を進める状態です。「システム的に作業をする」のは例えば何らかの文書(マニュアルなど)で特定のキーワードを探す場合にここにあるはずだとの思い込みで探しても見つかりません。それこそシステム的に順を追って探していく方が結局は早く見つかります。一定の手順でくまなく探した方が漏れがないと言うことです。一定の手順を文書化して(必ずしも文書化は必要ではありません。関係者が文書がなくても手順が分かる状態になればシステム化ができます)誰でもがその手順を使えるようにすることがシステム化と言うことです。
仕事とシステムの関係
仕事とシステムの関係を見てみましょう。
例えば食堂を経営しているとします。食堂の業務には次のものがあります。括弧内は業務内容をシステムと捉えるとどんなシステムに相当するかを書いています。
お客さんを席に案内する。(フロアマネジメントシステム)
水やおしぼりを渡す。(接客システム(トランザクションシステムー開始))
メニューを見せる(プレゼンシステム)
注文を受ける(受注システム)
注文に応じて料理を作る(製造システム)
料理を運ぶ(運搬システム)
会計で料金を請求し料金を受け取る(会計システム)
お客さんを送り出す(トランザクションシステムー後処理)
この一連の業務が食堂全体のシステムを表しています。一連の業務がスムーズに流れると店の評判は良くなります。一連の業務がスムーズに流れるようにそれぞれの業務の手順が決められています。業務の手順が決められていれば実は業務のシステム化ができていると言うことです。
システム化されていると言っても必ずしも明文化されてはいませんが店員誰でもが知っていればそれはシステムとして機能します。店員の誰でもが一連の業務を知ることができるようにすることがシステム化を図ると言うことです。
店員に新人さんがいると分からないことが起こり業務の流れが乱れて何らかのトラブルが発生します。トラブルがなく業務が流れていると業務システムが上手く働いているといえます
それぞれの業務もよく考えれば小さなシステム(それぞれの業務に手順が存在している)です。
システム化の意味
業務が上手くいかない場合は業務全体のシステム化が図られてないと言うことです。業務を上手くいくようにすることが実はシステム化を図ると言うことです。これは必ずしもコンピュータを利用することではありません。
もちろん業務にコンピュータを利用した方が圧倒的に便利になる場合はあります。そのことだけがシステム化と考えるのは結局はシステム化ができない原因となります。コンピュータを使う部分を見極めることもシステム化を図るための一つの作業です。コンピュータを使用する業務を見極めないで闇雲にコンピュータを導入することがシステム化と捉えていては時流に乗っているようなことにはなりますが業務改革のためのシステム化は実現できません。
システム化に際してすべきこと
業務をリストアップしてそれぞれの業務の手順を考えてみてその作業の意味が不明なものがある場合システム化が上手くいってないといえると思います。システム化を図るには意味不明な作業を見つけ出してその手当をする必要があります。訳が分からない作業をしていれば業務効率は上がりません。訳の分からない作業をしないようにしていくことがシステム化に繋がると思います。訳が分からない作業があることが「システム的に作業をする」状態ではないと言うことです。訳が分からない部分で余計なことを考えることになりシステム的に作業が進まない状況となります。
システム化を図ろうとしたら余計なことを考えなくてはならない業務を見つけることが必要だと思います。
余計なことを考えずに自動的に作業が進むという意味ではコンピュータを使ったシステム化と言うことも意味はあります。しかしコンピュータを使うことだけに注力すると本来の業務のシステム化はできません。コンピュータを導入することだけ一所懸命になっているとコンピュータシステムは入ったけれど使い物にならない状態が出現します。
あくまでも業務全体をシステムと捉えて業務全体をシステム的に動かすにはどうすべきかを考えるべきです。業務全体を見通した上でコンピュータを使う部分が特定できて初めて所謂巷で言われているシステム化作業が始まります。狭い意味でのシステム化をすることになったら我々所謂システムの専門家の出番となります。
業務全体の見極めが付かない状態でいきなり狭い意味でのコンピュータを使ったシステム化を始めても本末転倒で決して思うようなシステム化はできあがりません。
システム化を図る場合自社の業務で何が問題かを明確にしないまま時流に乗って所謂コンピュータを使ったシステム化に乗り出しても問題が大きくなって混乱が広がるのが落ちです。
システムというものをもう少し掘り下げてみましょう。
WIKIPEDIAによれば「システムを、入力と出力の流れの中で、持続的にゆらぎを解消しながら自己維持をするものとして、物理空間内に表現する。」との記述があります。システムの本質を捉えているものと思います。
物事には常になにがしかの入力があってそれに応じてなにがしかの出力が伴います。入力と出力を関係づけるものがシステムと言うことです。
こう考えると身の回りのほとんどのことはシステムとして捉えられることになります。上記の食堂の話もシステムとして捉えられると言うことに納得頂けると思います。この流れで言うと次のものは立派なシステムです。
・商店
・工場
・運送
・交通
・会社
・学校
これらは大きなシステムです。この中にそれぞれ固有の業務(仕事ないし手順)を持っています。このそれぞれ固有の業務もまたシステムであることがお分かり頂けたでしょうか。
世に言うシステム化と言うことはこれらのシステムをいかに効率化するかという議論です。現状業務が上手くいっていればそれはそれでシステムが上手く働いています。ただし取り敢えずシステムが回っているだけで効率的に作業ができているかどうかは別問題です。業務効率を上げようとすると現行の業務(それ自体は一つのシステム)のどこか、あるいは全体かもしれませんが、を所謂狭い意味でのシステム化をする必要があります。ただしあくまでもシステム化を図ると言うことはコンピュータシステムを導入することではないことをご理解ください。自社の業務で上手くいっていない部分があればそこにそこを手当をすることがシステム化を図ると言うことです。
システム化ということについていろいろ書いてきました。ここまで書いてきたことで何か知りたいことがおありでしたら、是非石黒社会システム研究所までお問い合わせください。大抵のことは相談に乗ります。具体的なシステム開発案件でなくても構いません。ちょっとしたツールを作りたいんだけど、というようなことでも構いません。システム開発についてどこから手を付けたらいいのかといった相談にも乗ります。基本的に相談は無料です。契約を前提として相談を承るというものではありません。相談をしてみたけれど問題が解決できなかった場合は料金は発生しませんご安心ください。具体的にシステム開発の契約が成立しましたら既定の料金を頂きます。
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