もの造りとは何か
一般に「もの造り」という言葉は二通りの言い方があります。モノツクリとものつくりです。モノツクリは主に工業製品製造に関して言われています。また所謂工芸品を作ることもモノツクリの範疇に入ります。しかしこれでは概念としてちょっと狭いと思います。「もの造り」はもっと広く捉えることが大事だと思います。それがものつくりです。例えば建物を作ることもものつくりです。あるいは今新型コロナ感染が広まっていますが、その感染を防ぐ仕組みを作ることもものつくりという概念に当てはまります。言い方がややこしいのでこの先は「もの造り」という言葉を使います
「もの造り」の流れは次のようになります。
・構想段階
誰かが現状の不具合を解決すべく何らかの人の役に立つ製品とか、仕組みとかを作りたいという何らかの方法を考えつく段階です。
・企画段階
その構想を実現すべく必要なものや機能が何であるかを調べて企画書ないし稟議書に纏める段階です。
構想の具体化とも言います。構想を実現するために必要なことを調査する段階です。この段階で所謂企画書ないし稟議書が作成されることになります。
・企画承認段階
システムの構想を実現すべく企画書ないし稟議書を審査し承認する段階です。誰かが企画書ないし稟議書を承認する段階ということです。
・売り込み段階
誰かが承認した企画を誰かに売り込む段階です。思いついた企画について誰かが資金を(提供するのが社内なのか社外なのかは関係ありませんが)出さない限りその話は終わりです。誰かに売り込むのが所謂プレゼンとなります。プレゼンで企画の概要、予算概算、企画が実現すれば何がうれしいかを売り込み先に提示することになります。
・プロジェクト立ち上げ段階
売り込み先でこの企画を推進したいと思えばもの造りのプロジェクトがスタートします。この段階が一般的なシステム開発ということになります。
・プロジェクト遂行
プロジェクトがスタートすることで具体体的な日程立案や必要な資金の調達が始まりシステム化の作業が進行していきます。この段階が狭い意味でのシステム開発になります。
主にシステム開発会社が担当する部分でもあります。
プロジェクトは基本設計段階(調査研究もこの段階に含まれる場合があります)、詳細設計段階、実装工事段階、検査検証段階、作り上げた製品や仕組みの公開段階が含まれています。
・リリーズ
所謂カットオーバーです。ここまでで一応あるプロジェクトは終了します。
・保守
完成したシステムを運用しながら不具合(システムの瑕疵やシステムが世の中の動きに追随できない機能不全の発生等)があれば対応していくプロセスです。システム開発とは別のものです。保守作業をしていくと次のシステムの構想が生まれたりする段階になります。システム開発とは直接関係しませんが、保守のことを考えておかないと後で面倒なことが起こります。システム化の構想段階で考えておく必要があります。
上記の「もの造り」のすべてのプロセスを全部実施することがシステム化を図るということです。このうちのどれかが欠けてもそのシステムなり仕組みは上手く機能しません。システム化を検討するときにこのことは常に念頭に置いておいてください。
この各プロセスが一人の人間で完結していれば所謂職人の仕事になり(モノツクリ)複数の人が関わってくれば企業による仕事(ものつくり)と言うことになります。
システム開発ということは実はここで言う「ものつくり」と言うことになります。メーカーの人にはシステム化はもの造りと同じと言うことはわかりやすいと思います。非製造業の人はもの造りと言われてもよく分からないかもしれません。
しかし人は目の前の問題を何とかしたいという要望はあるはずです。要望を満たすために何らかの仕組みを考えることは人は誰でもやっています。システム化と言うことは実はこの仕組みを作ることです。その仕組みをたまたまコンピュータを使って実現される様にしているのが所謂システム化なんです。
システム開発と言うものは繰り返しになりますが、一言で言えば、誰かが便利そうな仕組みを考えて、それを実現すべく資金がある人に売り込んで、その仕組みを実現するプロセスと言うことです。
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